ご挨拶
CASTLEは世界共通の観光親善大使です。近世以降、日本には天守閣が都市のランドマークであるという誇るべき文化があります。ヨーロッパの都市には必ず修道院の尖塔があり、市民や観光客・来訪者にも、それが都市の象徴的な風景になっています。福岡には広大なCASTLEがあるのに天守閣がありません。天神ビッグバン完成期にあたり、内外の観光にも成長が期待される時に、市民の誇りと憩いの場でもある福岡城に天守閣という都市文化を復元すべきではないでしようか。文化景観を復元するために、天守閣を発想新たに建設する時です。貴重な石垣や埋蔵文化財を最大限傷つけない手法をとって、現代の最も新しい発想と技術を駆使して作るべきです。具体的には最下層階を緩衝材をおいてコンクリートで覆い、その上に鉄骨構造で、外観伝統意匠、実質、軽量、耐震・防火、バリアフリーでできないかということです。熊本城の震災復興で取られた手法に学ぶことができます。第1世代・慶長期(1596〜1615)「プレハブ木造天守閣(漆喰木造天守閣)」、第2世代・昭和期(1926〜1989)「コンクリート造天守閣」に次ぐ、第3世代・令和期(2019〜)〜ともいえるもので、「ハイブリッド鉄骨造天守閣」とでも呼んではどうでしょうか。昭和期に天守閣を作りそこなった福岡でこそ、新構想でとりくむ時期です。福岡城の場合、天守閣があった、なかったの議論があり、最近ではあった公算が大きいものの、決着はついていません。この議論は今後とも研究課題と考えたらよいでしょう。今回は文化財を復元するのではありません。全国的にもお城ブームや、コンクリート造天守閣の老朽改築の時期を迎えています。今こそ福岡城で新たな発想で、市民の意見をくみ取って、また同じニーズや悩みのある都市の皆様のご声援もえて、率先して取り組むべきでしょう。
同時に、幅広い市民層に福岡・九州を中心にした郷土の歴史・文化を啓蒙する活動には、従来以上に積極的に取り組む時に来ており、ご好評裡に続けてきた「福岡歴史観光市民大学」をより一層充実して取り組むほか、「福岡城だより」の発行、各種関連イベントへの参画・企画、個性的なガイド事業にも取り組みたいと考えています。
2024年2月にはNPO発足20周年を迎え、2024年度は「福岡歴史観光市民大学」第15期という節目です。内外共に大きな時代の変化を感じています。多くの会員や市民・各界のご理解、ご支援に感謝しつつ、さらなる「伝統」と「進化」に向けて、当会も努力いたします。
2024年1月
理事長 石井幸孝